lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

エビデンス

強く繋ぎ合っていた手が離れた瞬間、幸せであった日々は忘却の彼方へと堕ちる。いつも触れ合っていたどちらかの冷たい毛先の感触は更に冷たく髪の毛に記憶が宿る。もう横には居ない。風の音、シーツが擦れる音、身体がぶつかり合う音、声。何も聞こえない。…

1997年 夏

金髪が揺れていた。信号待ちで車のエンジンが止まった。アメ車にはよくある話である。アロハシャツにブルーのサングラスをしていた君と一緒に車を押した。汗だくになって車を押す君の横顔は美しくステアリングを切るシャツの袖から伸びる腕は筋肉の筋が浮き…

ショートホープ

結婚願望が無いわたくしが唯一、結婚をしたいと思った男性がいた。わたくしが十八歳の時から三年間、一緒に居た方である。日曜日以外は少しの時間でも会い電話は毎日あった。初めて左ハンドルのメルセデスを運転したのもこの方のである。560SEL。十歳上であ…

痛み

死にたいのではない、むしろ生きていたいのだ。わたくしには彼女がいる。彼女といっても電話で話すだけの関係である。昨日お昼から一人で呑んでいた。というのも普段はお昼過ぎに起きるのだが午前中に起きているという事は寝ていないだけである。夜に彼女か…

愚かなファッキンクライド

声が聞きたくて電話をしたわけではない。初老の債務者相手に何の魅力があるというのだ。魅力どころか心配なのである。電話口で痛みを訴えた君に対しまた心配をした。痛いのはこちらも同じである。それよりは軽いであろう痛みに対しまた心配をした。大切に大…

パキシル断薬 一年九ヶ月

ようやく一年九ヶ月である。全身の不随意にビリビリブルブルとした千切れそうな痛みに痺れも強くなっている。皮膚の皮下出血は減ったが皮膚の異常な痒みがある日がある。腹部の筋肉は肋骨に巻き込み全身の骨に肉が巻き付く痛み、最近では毎日、左首がジスト…

ディストピア

世界は様々な複合体として貼り付けられているが同時に脆く剥がれ落ちる。これは集団の細い隙間に風が吹くからである。ただでさえ膨張をしてゆく人間性をキュビズムの世界に納めているだけである。剥離された関係をもう一度、貼り合わせようとは思わない。二…

口唇欲求

中学三年生の時、初めて煙草を吸った。お付き合いをしていた中学一年生の男の子から教えてもらった。男の子はショートホープを吸っていた。わたくしの母と同じ銘柄であった。男の子は吸いかけの煙草をわたくしの口に付けゆっくりと吸ってごらん。と、言った…

懸ける

土曜日あの車が来るらしよ?一回、競りたいよね。今のところ一番速いらしいわ。わたくしはGT-Rの助手席に乗っていた。ゼロヨン会場に到着をすると噂を聞きつけてかいつもより車が多かった。遅れて到着をしたわたくし達を友人達が待っていた。助手席の窓を開…

サポートグループの管理人さんが返信オプションを使うと他の方がコメント欄を見られないのでオプションは使わないで下さい。についてのわたくしの見解。

こんばんは。ご苦労様です。以前からこの問題について考えておりました。例えばわたくしの場合、断薬一年八ヶ月を過ぎ現在の服薬は無いのですが日常の記事を投稿するとします。そこにコメントがつくとしますね。そうすると減断薬の情報では無いので必要性が…

虫が騒ぐ

階段の上から突き飛ばされ肉が叩きつけられる音と共に転げ落ちる友人を見た。かろうじて頭を守って落ちて行った。その友人を車の所まで引きずり下ろし車のトランクを開けた男性二名はゴルフクラブでうずくまる友人の背中を力強く何度も叩きつけた。それでも…

閉ざす口

人前で食べるという事が苦手そうな方がいた。お腹が空いている。と、言うのでわたくしが友人に買ってあげたパンを分けたのだが食べない。それでもお腹が空いている。と、言う。ようやく食べ始めたのだがわたくし達の方は見ないで食べていた。その方が帰った…

現実逃避

二十三歳まで休日になるとお昼過ぎに起きシャワーを浴びてから呑んでいた。夕方に寝て夜からまた呑む生活をしていた。この間、全く休日が無い期間もあった。受付の仕事の他に土日、祝日は生え抜き集団といわれる営農組合で鉄筋を組んでいた。事務屋が何をし…

滑り込む夜

能動的にわたくしを床に座らせた男性は背後から膝立ちでわたくしの顎を上げた。逆さまになった顔を近づけわたくしの口の中に煙草の煙を入れた。夜道を歩いていた時に呑み屋から出てきた男性に声をかけられた。無視をし通り過ぎたがもう一度、声をかけながら…

退廃的温度

昼から夜なのかも分からない薄暗い部屋で抱き合っていた。俺はいつも君の背中を追いかけていたんだよ?すぐいなくなるでしょ?ずっとこうしていたい。わたくしは何も言わなかった。何故ならばずっと一緒などないのである。それが死別であれ価値基準が変われ…

春だけの幸せ

みんな自動車学校を卒業しているけれど待ち時間に暇だろうから遊びに行ってやる。と、言ってくれた。ある日の事、友達が来なくて暇であったわたくしは食堂のマスターと話をしていた。夕方になり食堂内が薄暗くなってきたのに電気を点けないのでマスターに電…

ミディアムなコア

友人がわたくしの誕生日を祝うというのでレストランに行った。コース料理でメインはステーキ。店員が焼き加減はどうなさいますか?と、聞き、友人のたぁちゃんはミディアムレアで。と、言った。店員はミディアムもレアもたいして変わりありません。と、言っ…

太客

本来サクラというものは毎回毎回、自分の名前を変えなければならない。が、わたくしは声のトーンを変える事はできず言葉のイントネーションも独特らしくそのまま「りん」で名前を通していた。これは逆に言えば暇な素人のりんちゃんが電話をしている。という…

花は散る

友人二名がどこかに電話をかけだした。今日は暇だね。と、言いながら受話器を持っていた。しばらくして、あっ、初めまして○○です。と、偽名を使った。今、友達といて暇で電話をしました。と、言いながら受話器の向こうの相手はわたくしに電話を代わるように…

カマキリ

スーパーマーケットでレジ打ちのアルバイトをしていた。毎日来る配送業者の男性と顔見知りになった。三月二十五日、男性はレジの下の棚に小さなギフトバッグを置いた。誕生日プレゼント!わたくしは接客中であったから話はできなかったがレジ待ちのお客さん…

黒塗りの夜

黒いスラックスにヴェルサーチのシャツを着た彼は髪の毛をセットしていた。そこにある革靴、磨いておいて。ねぇ?どこに行くの?あいつねぇ、ちょっと悪さしてねぇ、女の家にいるみたいなんだよね。知っている?その女。うん、同級生だよ。釧路に逃げたって…

一転

ワインレッド色のセダンが来た。学校までまだ早いな?ちょっと遠回りしてやるわ、煙草一本、吸えるぐらい。いつも連んでいる友人であったが助手席に乗るのは初めてであった。放課後、迎えに来た彼とわたくしの部屋にいた。何か二人でいるの変な感じがするね…

疲れきっていた

連休中、友達のおばあちゃんの家に一緒に泊まりに行く事になった。初めて行く田舎町、バスに揺られながら。着くと農家をしているというおばあちゃんや息子さんがいて二世帯家族の賑やかさを見た。わたくしの両親は共働きで一人っ子のわたくしは一人静かに食…

絡まる

退学と同時に別れていた姉ちゃんの元彼氏がバイク事故を起こしたと聞き電話をした。怪我はしていない。と、言った。とりあえず家にお見舞いに行った。季節は秋になっていた。学校の様子や退学をした友達の近況を話した。俺がいなくて寂しかったでしょ?と、…

繋がる

明日から夏休みかぁ。と、部屋にいると電話が鳴った。退学をした姉ちゃんからであった。住み込み旅館に勤めた姉ちゃんは開口一番に言った。明日から夏休みだべ?バイトに来い、住み込みで。断る理由もなく了承した。送迎バスに乗り旅館に着くと二階から、お…

祭の終わり

俺と付き合って。と、彼は言った。何となくのスタートであった。だぶりで入学をした彼は下宿をしていた。そこは女人禁制なのだがいつも女生徒がいたらしくある日、担任教師がガサ入れに行くと煙草の煙が充満していたそうだ。お前ら煙草、吸ってんな!と、温…

本は毒である

小学生の頃、母はわたくしに次郎物語のセットを渡した。読みなさい。と。小学生の自分に読めるわけもなくただ本を見つめていると母はノートと漢和辞典を置いた。漢字から調べろというのだ。本当に嫌で気の遠くなる作業であった。漢字を調べたところで意味な…

三途の川の右側を見た

昨日の誕生日はお寿司とステーキをご馳走になった。りんのすけが呑めそうならお刺身もあるよ。と、言われ二杯だけにごりを呑んだ。切ってもらったスイカを食べると末期の水の様に身体に染み渡った。子どもの頃から身体が弱く度々入院をしては必ずスイカを要…

生(せい)の速度

平成十四年 三月 二十五日 わたくしの母はベッドの中で亡くなった。四十八歳、脳溢血。死亡推定時刻はわたくしを産み落とした時刻とほぼ同時刻。その日に限って夕食後に空腹だったのか母は丼でご飯を食べたという。その頃、お誕生日おめでとうの着信履歴があ…

私の上着

夜の洗車場にたむろをするのが日課であった。そこに行けば誰かしら洗車に来ていた。そこにツーシーターのスポーツカーが入ってきた。車は見た事があったが話をした事はなかった。二個上の先輩が言った。あれ、俺の先輩だよ。話しかけてみ?わたくしは話しか…