lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

私の上着

夜の洗車場にたむろをするのが日課であった。そこに行けば誰かしら洗車に来ていた。そこにツーシーターのスポーツカーが入ってきた。車は見た事があったが話をした事はなかった。二個上の先輩が言った。あれ、俺の先輩だよ。話しかけてみ?わたくしは話しかけてみた。引きが悪く話づらかった。それから何度か洗車場で会っていたが話はしていなかった。放課後、駅前を歩いていると写真屋の前でスーツ姿の彼が立っていた。あれ?こんにちは、どうしたんですか?スーツなんて着て。ここでバイトを頼まれたんだけど暇くさくてさ、誰か通るかなぁと思って、りんが第一号。今日の夜って何をしているんですか?うーんとね、暇だね。暇ならドライブに行くか?うん!意外と話やすくて驚いた。運転をする彼に言った。洗車場にいた時にあんまり話をしてくれなかったから嫌われているのかと思っていたんだ。そんな事はないよ、りんの周りにいた奴らが苦手だっただけで今、一緒にいるじゃん。うん、霧が濃くなってきたよ、早めに戻ろう?パークゴルフ場の駐車場に車を停めた。わたくし達は深夜のパークゴルフ場に忍び込んだ。真っ暗闇の階段を降りる時に手を繋いでくれた。目が慣れてきても何も見えない。なんか水の音がするけど…手探りで探しあてた木の枝で音のする方に刺してみた。おい、目の前、池だわ。しかも結構深い。彷徨って大きな木にぶつかった。笑いながら、りん大丈夫か?こんなでかい木なのにりんだけぶつかって、おでこ見せてごらん?暗くて見えねぇわ。と、言いながらわたくしの顔を両手で触りながら、ここだな?と、彼はキスをしてきた。次第に激しくなった舌の動きを止めないまま彼は革ジャンを脱ぎ芝生に敷くとわたくしを座らせた。座って抱き合った。彼は言った。今日、連れて帰っていい?愛のないエッチはしないよ?と、言ったら、一晩中、愛してやる。と、言い、寒くない?と、革ジャンを着せてくれた。後から部屋で温めてやるからな。と、言った。テレビの灯りだけの部屋の布団の中にいた。朝までずっと腕の中にいた。朝になるり布団から顔を出すと枕元にわたくしのブラジャーが丁寧に畳んで置いてあった。シャワーを浴びた彼は頭にタオルを巻いたまま朝ご飯を指で食べさせてくれた。りん、学校つまらんべ?いじめられてんだったらたまに迎えに行ってやるわ。それとりんに何かやりたいな、俺もうちっちゃくて入らんからこれやるわ、りんに丁度いいと思うわ。と、スカジャンをくれた。この柄ねぇ、珍しいし俺のだって見たらみんな分かるやつ。着てきな。守られている気がした。学校に送ってもらうと車のマフラー音にみんながこちらを見ていた。送ってくれてどうもありがとう。と、言ったら、りん忘れ物あるぞ。ん?チュウ忘れてる。夜に洗車場に行くと先輩達が、あら、りん、スカジャン買ったの?あぁ?○○のスカジャンでない?そうだよ、くれたんだ。それ、あいつ誰にもやらんって言っていたスカジャンだよ!?うん、ちっちゃくて入らなくなったからあげるって言っていたよ。それにしても着れなくなっても持ってたやつだよ、それぐらい大事なやつだよ?借りてるんでなくてくれたの?前の女にもやらんかったんだよ?それから何度かドライブに連れて行ってもらった。彼はこんな事を言った。俺とりんはさぁ、騙すより騙された方が楽じゃん、チュウしていい?りんはいい子だね。ゲームセンターの駐車場でわたくしを朝までおんぶをしてくれた。フィルターを通してでしか人を見れなかったわたくし達が一緒にいる時はいつも霧がかかっていた。