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lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

口唇欲求

中学三年生の時、初めて煙草を吸った。お付き合いをしていた中学一年生の男の子から教えてもらった。男の子はショートホープを吸っていた。わたくしの母と同じ銘柄であった。男の子は吸いかけの煙草をわたくしの口に付けゆっくりと吸ってごらん。と、言った。ゆっくりと口の中に入れると煙の熱さを感じた。そのまま肺に入れると咳き込んだ。感想としては熱くて苦い。そこに美味しさや安らぎなどは無かった。小学生からたまに煙草を吸っていたという男の子はある時に吐血をした。煙草で胃が遣られていたらしく入院をした。それもそうだ、中学一年生といってもつい数ヶ月前まではランドセルを背負っていたであろう。心配になりお見舞いに行くと本当に元気に病室のベッドの上にいた。ベッドに腰を掛けるといきなり抱きつきカーテンを閉めた。昨日チュウをしていないから昨日の分も、世界で一番好きだよ。と、言いながら口をこじ開け舌を入れてきた。男の子の胃の中の空腹の味がした。ご飯って食べられるの?いや、絶食だって、そろそろ点滴の時間だと思うわ。廊下から看護婦さんのパタパタと歩むナースサンダルの音が近づいてきた。看護婦さんは、開けるよ。と、言いながらカーテンを開けるとわたくしを抱っこをしている男の子に言った。悪い事していない?カーテンは開けておきなさい。とにかくやんちゃな男の子であった。いつもMA-1の右ポケットにはショートホープ、左ポケットにはコンドームを持ち歩いていた。自転車の二人乗りが禁止でもわたくしを後ろに乗せ送ってくれた。夜遅くに部屋の窓ガラスに何か当たる音がするのでおそるおそるカーテンを開け下を見ると笑顔で会いに来たよ。と、悪びれもしない。チュウが好きな男の子で唇がうっ血をするほどまでに吸いつかれた事もあった。それから愛情表現がおかしな方向に向かって行く。口で唇を塞がれた状態で首を絞められた。息が出来ない。髪の毛を引っ張られ身体を押さえつけられる事もあった。そしてその後は急に我に返ってごめんね、ごめんね。と、可愛がる様に頭から足の先まで抱きながらさすってくれる。わたくしの心は離れて行った。学校の休み時間に一年生の廊下に行くと走り回っていた男の子を捕まえわたくしに着せていたMA-1を投げつけ、もう耐えられない!と、言った。その意味が分かった男の子はなだめる様にわたくしに抱きつき他の同級生達に教室に入っていろ!と、怒鳴った。嫌な事はもうしないから、これ着ていて…と、MA-1をわたくしに着せようとした。わたくしは男の子のお人形ではないのだ。振り払っているうちにわたくしの同級生が仲裁に入った。そしてわたくしと男の子を切り離した。汽車の窓から射し込む低い日差しに照らされて一緒に遊びに行った。わたくしはMA-1をプレゼントし男の子は長袖シャツとネックレスをプレゼントしてくれた。いつも抱っこをしてくれた野球のピッチャーであった力強い腕が好きだった。その力強い腕が狂気に変わらなければ。その後、男の子は野球の強豪校にピッチャーの推薦で入学したと聞かされた。ようやく満たされたのか現在は父親である。それはそれは子煩悩な。