lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

夜明け

深夜、乾いたボブディランの曲を聴きながら静かに熱い涙が溢れ出した。暫くの間いなくなる。と、言われた。足早に駆けてゆく足音が人混みに消えて行った。一度だけ振り返って本当に行ってしまった。果たして行き交う人々の中で幾人が幸福なのだろうか。思い出が溢れ出した。わたくしは一人、灰色の空の下で立ち止まった。朝は太陽となり照らされ夜は迷わぬ様に月になってくれていた。遠くても毎日。あの頃、貴方はわたくしの中で宗教であった。絶対的な尊敬をしていた。連絡も取れずいつ戻るのかも分からない日々。帰省本能がある貴方が必ず戻ってくると信じていた。寂しさが押し寄せる。壁に描かれた絵画の様にいつも傍らにいてくれた。時に攻撃的な才能に惚れていた。無条件に守ってくれていた。恋という好きだという感情を知った。愛という思いやりを与えてくれた。太陽も月も見えない暗い部屋でわたくしは目を開けていた。止まった時間の中で想いは消える事は無かった。数年をかけて目を閉じるとゆっくりと足音が聞こえた。暖かな空気に変わった。あの日のままわたくしは目を開けた。そこには貴方がいた。沢山の光と導き出す星と共に戻ってきてくれた。目の前は光り輝き優しさに包み込まれた。ありがとう。