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lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

探せない時

真っ黒な空が堕ちてくる。火渡りの炎の間を裸足で歩く。おきになった炭が弾け飛び小さな火花が舞っては消える。脚の悪い女性は火渡りの途中に転んだ。修行僧達が助けに入る。勢い良く踏まれた炭は火花を増す。見ている者達の怒号。引き起こされた女性は怒られていた。女性は炎の間を歩き出す前にこう言った。脚が良くなります様に、下の息子が就職できます様に。そしてつまづいた。就職を果たした息子さんは会社でいじめに遭い自宅で首を吊った。幾つもの柱時計の針が一斉に逆回りをし出し不穏な鐘の不協和音が鳴り響く。無情にも止まらない柱時計。新築であった家はごみ屋敷へと変わる。家の前を歩くだけでも異臭がする大きな家。玄関先にまで溢れるごみの中で植木鉢に植えられていた苗木は枯れていた。その得体の知れない部屋の中で女に四六時中と腰を振るもう一人の息子。女はごみの中で妊娠した。産まれた赤子は両腕を常時回転させる難病を抱えていた。仰向けに寝かせるとコンパスが廻る様に全身を回転させていた。翌年、祖母となった脚の悪い女性は両腕を回転させる孫を抱き火渡りの炎の中へと流れた。