lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

贖罪

守る為の涙であった。愛の為の涙を流した。傷を隠す様に瘡蓋で塞ぎ中は膿んでいるだけであった。わたくしが困惑をしているといつも上目遣いで表情を汲み取ってくれていた。信じている人の前でしか涙は見せない。それでも降りしきる雨に涙を隠す。頼っている人間が居なくなってしまった時、また独りになるからである。泣かせて悪かったね。と、勝手に泣き出したわたくしの両頬を両手で包み込み溢れ出す涙を口で吸い愛でてくれる。りん、俺の目を見てみな?大丈夫だから。俺が居るから。泣きたいだけ泣きな。ちゃんと側に居てやるから。何も心配しなくていい、大丈夫、大丈夫。と、しゃくりあげて泣くわたくしの背中をさすり続けてくれた。なるべくなら自分の事は自分で咀嚼をし飲み込もうとする。優しさに溢れ出す想いを反芻するのがつらいのである。見送る時には背中をいつも見ていた。堂々としていた背中。いつも必ず振り返り目で安心感と導き出す微笑みをくれた。打ち寄せる想いに会えなくなる不安は無かった。必ず来てくれた。抱き合い朝を迎え守られていた。振り返ったまま微笑みを残し貴方は突然、死んだ。置いて行かれた。部屋に行くとタブ譜があった。りんが好きだって曲、唄ってやるからな。唄ってくれた。カーラジオからは今日はホワイトデーです。と、しつこく声が流れた。貴方はしびれを切らし車を停めた。待ってな。と、店内に入って行った。白い花の鉢植えを持って戻って来てくれた。ホワイトデーだって言うからよ。はい、プレゼント。透明なセロファンでラッピングをされた花が蒸れてきたので、リボンを解いていい?と、聞いてから開けると花と土の匂いが広がる車内。横顔を見つめた三月。りん、いつになったら男と別れてくれんの?つーか、別れないのも分かっているし俺も悪い。二人でどっか遠くに行こ?わたくしは断った。あまりにも背後の人間関係がうるさすぎる。わたくしが手の中に渡した物で女性は制裁を受けた。女性の両親の土地は更地となった。貴方が総てを奪った。わたくしを手に入れる為に。そして殺された。