lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

夢だったのだよ

君が離れてゆく。俺から離れてゆく。俺の中で埋められない時間を君に当て嵌めていた。俺の知識を遥かに上回っていた君に凌駕をした。俺には君がいつも端的に危なっかしく付いていてあげないと。と、ずっと思っていたが君は違った。俺が甘えていた。二人きりで呑んだ帰り道、迎えに来た車の助手席に乗った君は俺を連れて帰ると掴んで離さなかった。俺は無理やり助手席に押し込んで車のドアを閉めた。あの時だったのかもしれない。君が俺からゆっくりと離れようと決めていたのは。俺はたまに君の夢を見る。君は全く俺の夢は見ないであろう。夢の中での君は色っぽくも十代の頃とは変わらず妹の様に愛らしい。俺が居ないと駄目になる。勝手な俺の想像であった。君が俺と並んでいる姿を微笑ましく思われていた。俺は嫌われやすい人間で君は人に好かれやすい人だから。いつの間にか君と並んでいる人は俺とは違っていた。