lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

20120217 友人との共作 無題

あ~また列車に飛び込んだ馬鹿がいる。と、彼は会社帰りの疲れを吐露するかのようにネクタイを緩め腕時計に目を向けた。どこかで一杯呑むか。その時である。ポツポツと暗闇でも分かるくらいの水色の雨が降ってきた。
目が覚めた。
夢だったのか。ん?そこは一面、青い珊瑚礁が広がる島だった。太陽の位置からして正午ぐらいであろう。白い砂浜で目が覚めた私はいつからここにいたのか全身が枯渇していた。喉の奥でせき止められたら唾をようやくと飲み込んだ。頭が重く昨夜の記憶を辿る。確か駅のホームに行き人身事故の為、混雑した人の波に逆らい駅を出た。その時に雨が降り出し私は名前も知らない呑み屋に入った。店内には雨宿りをする客がひっきりなしに入ってきた。ざわつく店内をよそに私は独り静かに呑んでいた。壁には季節感など全く無視をした南国の海の絵が飾られていた。都会の喧騒などとは余程かけ離れたその絵をぼーっと眺めていた。しかしどこか懐かしさを感じるその絵は以前どこかで見たことがある。そんな記憶の断片を繋ぎ合わせようとしていた。そしてその先の記憶はなく目が覚めると私は壁に飾られていた風景の中にいた。過去と未来の区別がつかない。昨夜あの店内で何が起きたのか。私は会社を無断欠勤をしていることに気がついたがそんなことなどどうでもよくなった。その時である。背筋に冷やりと汗が伝った。私は会社をリストラされ軽い気持ちで列車に飛び込んだのだ。一瞬の出来事であった。跳ね飛ばされた私の身体は物凄いスピードで砕け散った。だとすると身を投じる前に呑み屋に立ち入ったことになる。だが私の体は知らない島にあり身を投げたことすら曖昧になってしまった。