lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

夜が来る

満月の夜、月明かりを頼りに男達は狩りに出る。主人が居ない家を女は守る。無防備な女は急激なスピードで狭間から男に襲われる。満月の夜に灰色の暗雲が流れる。身の危険を感じた女は子宮から鮮血を滴り出す。月のもの。不気味な月がゆっくりと落ちてくる。一度でも愛した男を守る手段。汗ばむ獣の臭いを放つ男。愛した男以外の生命体を身籠もりたくは無い。海馬の中が産まれた時の事を考える。螺旋状の記憶は横並びの歯状回と同時に視床下部から電気信号でダイレクトに伝わる。生きた揺り籠は紅い涙を流す。止め処もない感情。誇示をしたい男は白いエネルギーを放出する。流れ出し名前も知らない男は重たい足取りで呼吸を乱し熱量がある髪の毛を掻き揚げ出て行く。無防備になった白々しい朝が来る前に身体中を強く洗い流す。汚れた身体を力尽きるまで洗い流す。鼻腔に残る男の匂い。三白眼の獣の目。男の重みを知った冷えた身体で藪の中の穂はざわつき夕陽を見せた。
又、夜が来る。