lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

初めて手を掴まれた時、心の中のフィラメント球のカーボンが燃え立った。最初に出逢った時の灯りの色の下を思い出す。首筋、指先を少しずつ触れ合った。感じやすい骨盤をきつく抱き締めてくれた瞬間、膝から崩れ落ち足下からは水しぶきが舞い上がった。目眩がするわたくしを強く抱き上げた。俺から離れるなよって言ってんじゃん。愛されると離れたくなる。ならば愛なんて要らない。なのに変わらない匂いが好きで声も好きで頼りたくてどうしようもなく熱が上がる。汗ばむわたくしの汗を何度も大きく口を開き唇で吸い取る。煙草の煙を吐き出す呼吸。息づかいを知ってしまった。他の女には触らせたくはない。待たせていたら他の奴に取られるのは分かっている、俺はそれでも待っていた。二人で堕ちてゆくのが怖かった。惚れたら誰の目にも見せたくはないと思った。束縛という感情が芽生えた自分が分からなくなった。掴んで離さなければ俺と居てくれるはずなのにアイツには敵わないと君との仲に踏み込んではいけないと掠めて。俺では足りない、俺が悪いんだな。
俺は君を受け止める。何度も呼吸を這わす。君の堪える顔を責める。煙草の煙がゆっくりと流れ落ちる。掌で両頬を覆った君の笑顔が歪んでゆく。俺から離れてゆく。征服欲と独占欲の中で俺は何もかもが分からなくなる。灯りが消えかけてゆく。
君を映し出す想う俺は誰なんだ。