lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

揺れ動く

レース編みの大きな迷路の上を歩く。隙間に落ちてしまわない様に。編み重ねられた上は安全で時に二本取りの綱渡りの上を歩く。その弱々しい綱の上を歩き不安に左側を見た。アーケードの上から沢山の大きな七夕飾りがなびいていた。ゆっくりと流れる風に記憶も動いた。会いに行くはずだった。五色の短冊の想いに後ろ髪を引かれ孤独感に涙が溢れ出した。何でこんな身体になってしまったのだろう。人混みを掻き分け会いに行った記憶。背後から唇に人差し指を立て、シーッ、と、するとみんなは気付かないふりをした。背後から肩に掴まった。急に振り返った彦星は驚きながらも男の香りを放った。
レース編みの迷路の上を歩く。悔しさに涙を流しながら。慰めるかの様にモルフォ蝶が飛び交う。羽は鱗粉を振り撒く。干渉され合う心。肌に貼り付き流れる青い涙が頬を伝う。青い星、野犬に放ったウイスキーボトルの青い炎。夜になれば天の川が現れるはずと青空を見上げ私は口を開く。モルフォ蝶の鱗粉が喉の奥に流れ込む。もっと欲しい。抑えきれない程に涙を流す。青い毒が廻り迷路の隙間に堕ちた。