lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

パッション

猫背の老婆が横切る。あまりの醜さに内ポケットからマッチを出す。ブーツのソールでマッチを擦り老婆に着火をする。老婆の小汚い外套は燃え始めた。若さの皮脂は無く枯れた皮膚の皺を炎が辿る。焼き尽くせばいい。嘲笑う黄ばんだ歯、見開いた目。老害。まだ生きたいのか。わたくしは殺しにかかる。グラスに入ったジンロックの氷を指で廻す。ボトルのキャップをゆっくりと開ける。静かな日だ。老婆の頭を目掛け瓶を何度も振り落とす。飛沫のアルコールがはじけ飛ぶ。引火する中でその目を潰してやろうか。老婆は尚、笑い出す。低脳な人間を見ると頭の中のシナプスが爆発をする。年月よりも一瞬なんだよ、腐れが。頭を叩き付け割れた瓶を力尽き振り落とす。殺す値も無い。刹那、割れた瓶で首筋を刺す。頸動脈を狙い生きた証を浴びる。腹ん中が煮えたぎる。臭い女の匂い。わたくしは生涯の母性が嫌いなんだよ。セーフティーゾーンを外す。シルバーの冷たいガンをぶっ放す。浴びる血肉。楽にしてやる。老婆の最期の目を見た時、楽になりたいのは自分だと思った。