lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

弧を描き後ろからゆっくりと飛び降りる。その時だけ身体中の痺れから解き放たれた。生きている重みは膨張し浮き上がる。このまま堕ちてゆきたい。と、思った瞬間、身体は急降下をし出した。加速する肉体の重みは胎児だった頃の記憶には無い。風を切りながら空を見つめると揺れる鼓膜に微かに鈴の音が聞こえた、確かに。現実に引き戻され目を見開く。地上まであと少し。最期に見つめる青空。弾けろ、砕け散ればいい。涙を流し身体は跳ね、涙が弾け飛んだ。ゆっくりと目を閉じる。静かな日だ。雲は動いているのだろうか。鈴の音を感じ目を開けると涙で霞み空が傾いた。涙を染み取る柔らかな羽根を肌に感じた。地上に叩き付けられる直前に低空で迎えに来た渡り鳥。渡り鳥は涙を流し微笑んだ。肩羽にわたくしを抱きしめ羽ばたき空を目指した。舞い上がる金色の星屑。消えない記憶の風。君の笑顔。ただ静かに。