lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

未来

春だった。小さなビーズを指先から二人で繋ぎあった。傷ついていた私達は触れた指先だけで幸せであった。見つめる孔雀の目。君は煌びやかな羽をしまい込み私は地味な羽を閉ざしていた。孤独を背負う同じ目をしていた。夏には背中を合わせ鏡の中の笑顔の自分達を見つめた。暖め合った二人だけのファッションショー。秋の空気中、孤独という冷えは消え去っていた。
目が見えるのなら君がプレゼントをしてくれた本を詠み二人が好きな映画を観たい。身体に痛みが無いのなら何処までも君を迎えに行きたい。そして手を紡ぎ合い描きたい。
吐息が白くなった午後の赤信号。君の誕生石を身に付けた。その先に君は居ない。青信号に変わり涙を流しながらいつもの道を歩いた。
本の頁を開くと君の部屋の香りがする。文字は近いはずなのに遠い。

亡くした冬に孔雀の羽が開き出す。君の葉脈の様に。

僕らの風見鳥はどうなるのであろうか。渡り鳥の君は孔雀に奪い去られてしまうのだろうか。

静かな風見鳥が一瞬、揺らぎ此方を見た。