lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

無題

三人の男が私の躰に優しく獣の爪を立てた。腰回りを揺れるその爪は魔除け。私がその爪痕を身に纏うと木々がざわめいた。闇夜に潜む朱い目の野犬の群れ。月は紅く色付き腹ん中の獰猛さに私は静かに牙を剥く。染まる朝、逆さまな世界に独りきり屋上に立つ。
風が頬をなぶり前から墜ちるか背中を叩き衝けるのか。
ねぇ?甘い人間でしょ。
風が邪魔をする。
愛していたよ。大好きだったよ。その無情。

わたくしはずっと待っていたから。

狭いガラスの中の水槽。水の流れを見つめ時に反射をするガラス越しのプリズムに網膜は破られた。

映し出したのは君だよ?
僕の事、覚えている?何度も好きだって言っているじゃん。

違うよ。

静かに堕ちてゆく。