lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

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僕の前から彼女は居なくなった。海辺や森に捜しに行ったが居なかった。僕はプロペラ機に乗り星空の中を君を捜した。聾唖で盲目の君の音が無い世界。僕は懐中時計に当たるチェーンの金属音を鳴らしてみる。無力さに胸が苦しんだ。君が居ない部屋でオルゴールの蓋を開ける。君が居た石鹸箱の香りがした。君が好きだったショパンの革命が静かに動き出す。貝殻の中で怯えていた君。気球から帆船に降り立った君。最後はいつも笑顔だった。ぐずる彼女をいつもあやしていた。空が堕ちてきたら危ない。と、僕は言った。強く言い過ぎた。心配だったから。どうして僕から笑顔を奪ったの?創りかけのツリーハウスの屋根は無く僕は雨に当たる。朽ち果てた風見鳥に聞いてみる。彼女はどこに居るの?
風見鳥は言った。
ペガサスに乗っていたよ。