lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

暖炉

この地に引っ越し三十年が経った。転校をする際に担任教師は丸一日わたくしのお別れ会をしてくれた。普段あまり会えない父が教室の後ろで見守り給食の時間、父は食事を遠慮し傍に居た。休み時間に父と居たく近寄ったが友達と遊んでおいでと言った。五時間目、西小学校生活最後のわたくしの挨拶。胸が詰まった。そしてプレゼント交換。入院前の母とサンリオで買って貰った鉛筆とメモ帳。クラスメートは色々な物をくれた。父の車に乗り発進をした。揺れる車内。後ろから声が聞こえ咄嗟に振り返った。クラスメートが手を振りわたくしの名前を呼びながら車を追い掛けて来ているのである。あの時、父は速度を弱めていたのだと思う。ずっとわたくしの名前を呼び手を振りながら追い掛けて来るのである。父は車を停め友人達を送ると。いつも一緒に居たみんなが乗り込んだ。冷えた外着に汗ばんだ友人達の笑顔。車内の窓ガラスは曇った。一人一人とさよならをし最後に精神病棟に入院中の母に電話をした。じゃぁ、行くね。祖母と曾祖母に見送られ手を降った冬。祖父と叔父さんは居なかった。父方のこの地に進むにつれ雪深くなっていった。
あの日は吹雪だった。
君が冬の文章を書かなくなったのは僕のせい。
違うんだ。わたくしがあの光景を受け止め切れないんだ。
皆に守られ、幸せです。
本当にありがたい。
https://youtu.be/iq7FlafShEU