lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

夢遊

部屋中を覆い尽くす平積みされた言葉の山をロープで結ぶ。ドアを開け真っ黒な湖を目指す。部屋の中のアルコールランプの灯火はそのままに。ロープを握り言葉の死体をゆっくりと引きずり歩く。逆算される地上の嘘が纏わりつく湿る媒体は重みを増す。ロープを左肩に掛けしっかりと握り歩く。肩に食い込むロープ。骨の痛み。握る手からは血が滴る。水の匂いがした時、後ろを振り返った。森の中の住処の小さな灯火のランプが消えかけていた。遠くまで来た気がしていた。何マイルも。退けた距離は近かった。息を枯らし辿り着いた湖面に四つん這いで口をつけた時、軋むブーツのベルトは切れた。ここで終わりだと。喉を鳴らし無理矢理に飲み込んだ、末期の水。夜の太陽が昇る。黒い影が螺旋状に近付いてくる闇夜鴉。紅く染まり出す湖に止まったままのチェリストが現れる。言葉の毒の上に仰向けになる。じっとりと汗ばんだ脳の下はデカルト。空中に浮かぶ言葉。我思う、ゆえに我あり
鳥葬の始まりである。
脳を啄んだ鴉は毒が廻り痙攣を起こした。