lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

背負う

沼に浮かび上がる死体。体には願いが縫われているリボンが巻き付けられていた。私は小屋に死体を運んだ。リボンをゆっくりと解くと言葉は空中分解された。首には見覚えのある鍵がぶら下げられていた。鍵をなぞる。遥か昔、私が示した鍵。君の心の扉を開けると約束をした。私はその鍵で君の心臓をえぐった。死体は目を覚まし私に微笑んだ。ホルマリンに浸けられた鋏を取り出し君に手渡すと私の想いを切り取った。鳥籠から巣立って行った記憶。私にしか開けられない扉。閉ざされた心のまま私の言葉を体に巻き込み沈んだ。見失った君を探していた、雨の中。掴んでいた肩はそこには無く膝から崩れ落ち地面を掴んだ。悔しさに髪をかき毟りながら名前を叫んだ。何度も何度も。
森の狼は私と君は同じ目をしている。と、言った。退廃的で孤独に色を憑ける。
君と絹糸を紡ぐ。描き汚れた部分を鋏で裁断する。私はラウンドナイフで切り離す。
次は君の番だよ。

私を閉じ込め殺して。