lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

浚われる

苦痛に歪んだ君の顔を見たい。僕の事など愛してはいないから。受け入れる君も僕も苦痛に堪える。それなのに愛し愛された記憶が駆け巡る。夏の昇華。
両手で頬を包み込み逃した記憶に胸が刺さる。唇を這わす瞬間、君は僕を拒み手から離れて行った。突然の事に立ち尽くし追いかける事さえ出来なかった。無力感に僕の身体は硬化をしひび割れ灰になる。崩れてゆく記憶の中で見届ける。君はモノクロームの砂嵐の中へ消えた。僕は目を閉じ君の残像が視覚野で追幻想を起こす。鼻腔に残る香り。側頭部に傷を付けいつまでも君を忘れたくはない。前頭前野が君の顔を浮かび出し感情が溢れ出した0.2秒。肢体の力が抜けた。君に追いつけない。羽音を立て低空で迎えに来た渡り鳥。渡り鳥は彼女を乗せ笑った。