lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

君を覆う僕の海の結晶が溶け出す。君が溶けてゆく。指を繋ぐと君は見つめた。きっと白く霞んだ視界に僕を確認した。両頬を両手で触れ僕の呼吸に手繰り寄せられ君は聞こえない左耳を僕の唇に合わせた。僕は鼓膜に届けた。好きだよ。愛しさの波動を。君に届いた。君は抱き合ったまま僕の背中に指文字で「すぅき」と、届けた。嬉しそうに。
夢を見つめていた。
真夏の雨が君だけに注ぐ。誰かが君の熱量を冷ます。
溶け出す君を抱く、この腕に。僕の肩と背中のキャンバスで遊んだ君。
目眩を起こし声を亡くした君は、咄嗟に掴まり消えた。

二度とは戻らない。