lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

バックスキン

夕陽を背に感じた時に守られていると思った。近づいて来る足音。咄嗟に握られる手。立ちすくむ私を必ず迎えに来てくれた。一人になると迷子になるから。近づくサイレンの音。切り離される。記憶の走馬灯。連れて行かないで。一緒に居たい。と、静かに息を吸い込む。私の心臓は貴男の心臓。

「もう少し一緒に居てやれば良かった。」

木の幹は太く根ざし、枝は粘り花を開く。
貴男の背中を見つめる。最初から好きだった背中を。振り返った目つきに視姦をされる共犯の目。

直進する感情、縺れる身体で一人きり夕陽に飛び込んだ。記憶はフラッシュバックをし涙が溢れ出した。