lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

永遠(とわ)

カモメの群れが飛び立った凪の日。砂に描く想い。振り返り微笑んだ。日差しは暑く打ち寄せる波は涼しく。素足を止める。時間が止まっているのは自分だけ。絡み付く水は流転の泡。押し寄せる感情に飲み込まれそうになる。立ちすくみこのまま沈んでゆきたい。ハマナスが風に揺れ感情が引き戻される。愛された事などは無いと思い出す。ゆっくりと進む。原始の海へ。誰かに離れろと言われた身体は引力で導き出される。掬われながらも奥へ。光る海面が眩しい。徐々に圧迫される身体。愛しさに飛び込み一気に飲み込まれた視界は暗く漆黒の海底へ沈む。あの日、振り返り微笑んだ。遠くなる。感情の内側に溺れる。記憶の底を辿る。冷えた心は冷たい手を探す。あの腕だけには愛された。壊れるぐらい狂おしいその手を求める。