lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

星の涙

白い空、青い雲が流れるとおもちゃのピアノの音がした。それに合わせ僕はアコーディオンを弾く。カナリア達がさえずり君が口笛を吹く小さな世界の演奏会。色とりどりの草花が揺れ割れないシャボン玉が舞う。君が待っていたピンク色のガーベラが開いた。君は優しく摘み取り僕の袖口に縫い付けるカフリンクスの花。オレンジ色のカナリア達が眺めにきた。微笑むと流れ星が流れた。僕は星を咄嗟に掴み取り君への髪飾り。喜ぶ君と一緒に居る幸せ。晴れた夏に雨が降り注ぐ。生きている限り纏わりつくこの地上の同じ匂いが伝う。大きな水母が君の頭上を覆う。全身に電気が走る。痺れ出した君に僕はメディムを塗る。間に合わない。目の前の君が、笑顔が、砂嵐となり風化されてゆく。消えてゆく砂をかき集める。星の砂となった君を握る。掌に想い出が溢れ出す。湿ったその砂にカフリンクスを外し乗せる。
僕は痺れ始めた。
君が遊ぶおもちゃのピアノの音がする。戻りたい僕はカナリアを握り食べた。口の中で羽根が廻る。記憶が戻る。焼け落ちた君が好きな帆船。気球で遊んでいた空。虹色のシャボン玉がパテントとなり君のウイングチップのドレスシューズが浮かび上がる。
雨が冷えてゆく。
雨が。