lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

炙る感情

脳梁に伝う左利きの想い出。左利きの男性を見た時、懐かしさに名前を呼びそうになった。鏡の中の動作の様にわたくしが右手を動かすと貴方は左手を動かす。記憶の中でお互いの小指の指輪が映っていた。利き目の左目で唯一わたくしは貴方の右目を見つめ、眼孔鋭いその視線に捕らわれ痺れた。認め合い受け合った。誰にも運転をさせないわたくしの車のキーを貴方に投げ貴方は何事もなくキーをキャッチしサラッと左ハンの運転席に乗り込んだ。貴方の右顔。いつもは左顔を見て来た。会えなくなる気がしていた。なのに、ずっと一緒に居る様な気がした。貴方の笑顔が加速をする。先が見えない二人はあの時に巻き戻される。二人きりでいつも一緒に居た。自傷行為の血の波にサイレン音。暗闇に舐る緊急の点滅。支え合っていた。僕は自室、ラウンドナイフで。君は橋の上で冷えたナイフで哀しみに声を上げた。今、一緒に居る。
僕はアクセルを踏んだ。メーターは260㎞、君となら一緒に死んでもいい。アウトバーンには行けないね。と、ドイツ車の君は笑った。余所見をした僕は君のメルセデスを一瞬で転がした。炎が上がり炎上をした君のメルセデス
焼けてゆく君を探し尽きた。