lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

流転

左利きの犬が冷えた肩を噛んだ。秋明菊は揺れ落ち畳の上の窒息感。ロンパリの片目は堕ちてゆく。雫を垂れ流し溺れゆくこの暗い世界に逝年の閉塞感を味わう。獣の首輪の砂時計を微かに見つめる。締め上げられる度に早送りされる砂。潮の記憶。貝殻の中の隠れん坊。戻れないあの海にフィルムを持って沈んだ。君が吐き出したバブルリング。確かに生きていた。井草の目地に点々と彼岸花の紅が辿る。描いた先の末路。引き上げられたら肉体は冷え全裸であった。