lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

高低差

プロレタリアの空は広い。誇張された人間には解らない自己の小ささを。空の温度は低いが地面はマグマの地下熱に火傷をするので踏み出せない。本来的な素足と鎧という足枷だけの違いだけで背伸びをした人間は地上で靴擦れを起こした。縺れ込み前のめりにゆっくりと頭から落ちる瞬間にアスファルトの匂いを感じた10cm直前、一気に加速をした脳は打ち付けられた。地下を破壊し創造をした者は吹き飛ばされた。喰う為に生きるのか、生きる為に喰うのか。傷がつく手前で羅列された固形物を一番奥で噛み締める。ガルバニー電流に合金も無いわたくしは化合物として微弱な電流で拍になりたかった。種の属性、ヒトの死の一様性に顕れた金属性。
高みの人間はオペラグラス越しに嘲笑う。小さな人間は大きな緞帳の幕開けを片目で見上げる。腹の中の虫が騒がない様に冷静に。太陽が黒髪を目指す。涼しかった頭上も焼ける熱さになる。誰も期待をしていない狙われる細身。いつも見上げる空が落ちてくる。両耳を塞ぐ。声にならない声で叫ぶ。

誰も居ない所で木が倒れた。

そこに音はあったのか?

夢だったのだよ

君が離れてゆく。俺から離れてゆく。俺の中で埋められない時間を君に当て嵌めていた。俺の知識を遥かに上回っていた君に凌駕をした。俺には君がいつも端的に危なっかしく付いていてあげないと。と、ずっと思っていたが君は違った。俺が甘えていた。二人きりで呑んだ帰り道、迎えに来た車の助手席に乗った君は俺を連れて帰ると掴んで離さなかった。俺は無理やり助手席に押し込んで車のドアを閉めた。あの時だったのかもしれない。君が俺からゆっくりと離れようと決めていたのは。俺はたまに君の夢を見る。君は全く俺の夢は見ないであろう。夢の中での君は色っぽくも十代の頃とは変わらず妹の様に愛らしい。俺が居ないと駄目になる。勝手な俺の想像であった。君が俺と並んでいる姿を微笑ましく思われていた。俺は嫌われやすい人間で君は人に好かれやすい人だから。いつの間にか君と並んでいる人は俺とは違っていた。

空間

綺麗なままで死にたいの。彼女は僕にそう言った。彼女の口から死という言葉を聞いて僕は動揺をした。誰にも止められない頃の彼女は太く短く進んで行った。それは誰も追いつけない程に。今の彼女は違うと思っていた。ただ静かに、細くとも永く息をしているのだと思っているからである。むしろ生きたいと常日頃から言っている彼女の遺言を聞いた気がしてその言葉で彼女が突然、居なくなった気がした。駄目な自分の空虚感に支配をされ涙が溢れ出した。色んな物を削ぎ落として来た彼女にはまだまだ心の内部に込み上げる悔しさが残っているのを知っている。と、同時にたぎり出す熱量は誰にも追いつけない速度があるから。今まで通り過ぎて行った男性を何人も知っている。今はひとりで居る彼女も知っている。夕方には必ず同じ道で家に帰る伝書鳩の様な真面目さも知っているのにその言葉の真意を持っている彼女を僕は今まで気がつかなかった。いや、分かっていた。触れたくはなかった。僕の曖昧さが露呈をする。何故ならば楽しそうに時に恥ずかしそうにはにかむ彼女と同じ様な空間の中に居ても無駄な事を言わない様に緊張をする。彼女からすると些細な事で。君の優しさ。一緒に過ごす彼女は別れ際いつも何かを言い残しているのは分かっていた。僕はあえて次に会える日を待っていた。彼女の事だから突然、居なくなる。それでも彼女は僕に会いに来る。必ず会いに来る。僕は待っている。ずっと待っている。言いにくそうにも僕にだけ打ち明ける声。頼られるのを僕は待っている。彼女の総てを飲み込んであげたい。彼女は枯れるまで捧げる人だから。枯れる前に僕が浸透をすると決めたのだから。見送る彼女の後ろ姿を見て嗚咽をしながら崩れ落ちた。彼女の今までを塗り替えてあげたい。僕は無力だが君を支えたい。やせ細った君の腕を掴む。浮き出た骨。痛がる躰を優しくさする。

綺麗なままで死にたいの。

何を思っている?と、僕は問いかけた。
君は言った。

わたくしと居て恥をかかせたくはないから。

待っている 声

愛されると離れたくなる。一瞬だけよぎる永遠。この世に永遠なんて無い。その一瞬の幸せを拒む。全身傷だらけで触れられると痛むから。体温に締め付けられると応えられない。
声にも温度があるが言葉に傷つけられても声には傷つけられない。見えない表情、受話器からは周波数に合わせる偶像された声。あたしは深夜の公衆電話を見つける。焦点が合わない遠く蛍の光の様に小さく見える灯りを頼る。明るくなるまで静かに人を待ち続けている公衆電話。彷徨っている深夜の風防。密閉されたガラス張りの空間の中で君とあたしは丸裸にされる。声と体温で湿度が上がる。音の水蒸気。潤う深夜。
ただ、そこに居て。

無題

傷がつく手前で羅列された固形物を一番奥で噛み締める。ガルバニー電流に合金も無いわたくしは化合物として微弱な電流で拍とイオンになりたかった。
膣は産道であり痛みや快楽の縁側ではなく廊下なのである。暗く光に開けている様でさらに暗い子宮口が大きく口を開けて飲み込みにかかる。
種の属性、ヒトの死の一様性に顕れた金属性。脳内爆発音とアリス症候群に支配をされながらも脂汗をかくほどの内臓の痛みと全身不随意の痛みの中で静かに暮らしていたいと思うジャネーの法則。脳の中の記憶を呼び出す視神経細胞の間の信号を伝えるシナプスドーパミン、ノルエピネフリンアセチルコリン。抑制されたセロトニン。幾度ともなく繰り返されるアップレギュレーション。君の仕草、わたくしの総て。

隙間

幾年にも後ろ髪を引かれていたわたくしは深夜、白熱灯の光を放つ洗面台で髪を切り落とす。想いが遺っている髪を自らの鋏で切り落とす。指に力を込め何度も何度も切り離す。我に返る不均衡なわたくしは非対称に髪を残した。切り離せない想い。過去とこれからを知っている君との距離は近いが貴方の髪がフラッシュバックをする。わたくしの慈しみの指の間という手櫛で解いていた温度がある美しい糸の様な光る流れ髪。センタープレスをされ二人が折り畳んだ想い出に針と糸でくるみ鈕を縫い付けた。一生、離れない様に儚くも落ちてしまわぬ様に。炭酸水の気泡が直ぐに消え無くなる狭い空間で聞いた少しだけの足音。折り重ねていた。掴んだ両肩、脱ぎ捨てられない中でわたくしは汗ばんだ。いつも留めていてくれていた記憶。君に合わせ切り落としたはずの髪の襟足。それでも断ち切れなかった。すり抜け絡み合う事など無い髪。貴方との互いに織りゆく先を見るが為に。

誕生日

誕生日を迎えた。母の命日でもあるので毎年、憂鬱にもなる。今年も約三年前と同様に全身不随意の痛みで過ごした。土曜日の夜に王子さんが居なかったので日付が変わった夜を一人で。一人っ子なので一人は好きである。誕生日の夜ぐらい何かをしたく友人にあげるセメントバッグを造った。これがかなり大変な作業で強い不随意の痛みに脂汗をかきながらの裁断、目打ち、縫い。手にはびっしょりと汗をかきペーパーバッグが湿ってしまうので汗を拭きながら何時間もかかってしまった。目が見えにくいのもあって縫い直しをしたりとそんな今年の誕生日である。本日は友人からのメールとツイッターのフォロワーさんからもお祝いをしてもらい今日という日に二十代の頃に遊んでいた音信不通であった友人からLINEの友達申請が届いたりと変わらない様で進んでいるスタートを切った。寝たきりなりにも年度末なので清算が出来る事はしてきた。ただ歩きにくいので灯油代の精算には行けてはいない。今年の誕生日プレゼントはオーバーオールとネックレスであった。GUCCIのネックレスなのだが開けてびっくり玉手箱。これ持っているじゃん!えっ?待てよ?トップの石が色違い。気をつけて見なければ全く同様品である。王子さん曰わく新しい商品なんだって!手が震えて付けにくいのだが有り難く頂戴をした。十六年前の今日、母が亡くなりその際に友人関係を整理したので普段は一人でいる。以前ならお誕生日パーティーをしてもらったりとかなり賑やかで持ちきれない程のプレゼントを貰っていた。夜遊び番長が八年間の自宅で警備員であるが一昨年、出逢った方達との友人関係は自身の糧にもなった。中々、呟けなくてもツイッターのメンバーは変わらず楽しい。自称、人見知りのわたくしなのだが先日ショップのオーナーに凜さんは人なつっこいからなぁ。と、言われた。そうなのかい?唯一の友人にも君には沢山の友達が居る。俺は君ぐらいしか友達は居ない。と、言われたが一人で居るのには何かあったのだろうね。と、言われた事がある。人との関わりでパニックを発症してから価値観が変わっただけである。友人関係においてもベクトルが変わり価値基準が構築されると自ずとその場所には居られないのである。現に先日、友人から凜ちゃんは今は休憩中なんだけれど元気になったら又ヤバい奴だよ、ただじゃ終わらんわ。と、言われた。昨年の夏ふた月ほど痛みが弱かったのでお小遣い稼ぎにオリジナルシャツを販売しようかな?と、思考をしていた頃にはとっくに印刷屋さんで価格を出して貰い売値まで出していたのに寝たきりになってしまった。又、絵を描いたりレザークラフトが出来る様になったら幾らでも出資をするよ。と、具体案まであったのだが趣味の範囲内なのと人のお金で運営はしたくはない。始めるのなら自らが一から始めたい。生きるという総ては自己責任なのである。死ぬ時も一人なのだから。その途中下車の世界の中でもわたくしは恵まれていると思う。制約をされた生活の中でも皆に良くしてもらい友人は言った。君の人徳なのか君は自分で思っている様な人間ではない。住む世界が違うのだよ。いちいちお洒落だし、いちいちかっこいい。なんだ?大ファンか?と、思うぐらい何も考えていないのが現実なのだが。脳までもがビリビリブルブルとし思考が出来ないのである。出来ない事への悔しさを排除しているのである。強い不随意で皮膚が皮下出血をし床擦れもある。痩せばらえた尾てい骨は車の振動で擦りむいたりもした。それでも痛みが弱い日にはどこまでも行ってしまうのだから心配なんだよ?と、皆に言われた。直ぐに居なくなるから。
そう、人生の勝負時が来たら待った無しだ。