lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

傷痕

皮膚にわたくしの名を刻んだ君の人生を狂わせてしまったと未だに後悔をしている。消える事がない貼り付いた名前とそこにはいないわたくしと共に生きる事を選んでくれた。鼓動に合わせ脈動する名前。生きている限り血はたぎるその皮膚の上に存在しているわたくしの名前。裏切ったわたくしに寄り添った君は別れという選択肢は示さなかった。不完全で未完成のままわたくしは逃げた。振り解き走って走って逃げた。道端に咲いていた綺麗な花を踏みにじった。花束をプレゼントしてくれた時の笑顔を振り払った。陽に当て寒さには衣類で囲いをしてあげた。食事を与え成長していった。伸び出した髪の毛を切ってあげた。総ての季節を一緒に見た。何もしないでここに居て。と、言った君の手入れを放棄した。傷口は膿み暗い部屋で枯れる事を選んだ。大切に育ててきた朽ち果てる君を見る勇気は無い。繊細で美しかった花を咲かせていたのに君の身体に傷をつけ心を汚した。種を蒔く事も無く。