lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

ベテルギウス シリウス

庭には小さなお花畑。咲き誇る花の上で遊んでいた。高枝に引っ掛けられたレコード盤。動かないレコード盤を下から大きな葉で仰ぐ。呆れた風見鶏が羽音を立てると風が動き出した。
僕からのプレゼントだよ。
振り返ると手に赤い星と青い星を持った貴方が光った。君が眠っている間に飛行船に乗って探しに行ったんだ。そう言いながら赤い星を私の頬に貼り付けてくれた。星の瞬きは黒目に反射し僕を見つめる君の片目は赤く輝いていた。青い星を僕の頬に貼り付けてくれた。青く光る片目を見た時、君の表情は燻すんだ(くすんだ)。ウイスキーボトルで火を放った時と同じ青。あの日の事を君は憶えていたんだね。僕は君を掴んでいた。咄嗟の事で記号である鍵を炎の中に放ってしまった。僕の象徴は君だけなんだ。君はポケットからゆっくりと何かを取り出した。僕を見つめながら手の内に何かを握らせた。僕は君の目を見つめながらゆっくりと握った手を開き目を落とす。ミニチュアのウイスキーボトル。そこに鍵は付けられてはいなかった。
君は言った。もう、鍵はいらないよね。僕は赤い星の君を強く強く抱きかかえ花の中へと堕ちた。