lynnosukeのブログ

愛なんてそこじゃなくて生きてるだけじゃ足りなくて

お針箱

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先日、自宅にカセットテープを取りに行った際どうしても持って来たかったものがあった。それはお針箱である。スライド式二段のお針箱は母さん(祖母)がわたくしが小学校を転校をする時に持たせてくれたものである。それ以前に母さんはわたくしに赤いお針箱を買い与えピンクッションは母さんが青だからわたくしは赤ね!とお揃いである。母さんが昔、使っていたと言う木製のお針箱をお下がりとしてくれ祖父母の会社のわたくしの勉強机に古いお針箱を置いていた。どういうわけかその古いお針箱に愛着があるわたくしは裁縫箱としてではなく宝物入れとし使っていた。母さんは洋裁学校の出身でわたくしのお稽古バッグや身の回りの手芸品は母さんお手製の物である。わたくしの母がお針箱を持っている印象はなくどちらかと言えば編んだり飾り物を作るタイプであった。転校先で家庭科での手芸の授業が始まる頃、教材として裁縫セットの注文書が配られたがわたくしは小学生にしては一通り持っていたのでスライド式のお針箱を持参した。田舎の小学生には物珍しかった様子で皆は興味津々であった。次の授業に使う友人達の端切れを収納しておいたりしていた。教材の裁縫セットは絵柄が2パターンあるものの水色の裁縫箱。親が使っていたであろう古くアイボリーの裁縫箱の子や真新しく買い揃えたであろうサンリオの赤い裁縫箱の子も居た。わたくしは他の生徒と同じタイプで黒いスヌーピーの裁縫箱も持っていたので気分や持ち物で使い分けていた。衝撃を受けたのは同じ班のAちゃんの裁縫セットである。彼女は小さな海外製のお菓子の缶にピンクッションと糸切り鋏みに糸と、こじんまりと持って来、裁ち鋏みやその他は別持ち。今から30年前である。周囲とはまるでかけ離れていた。それもそのはずでスポーツ合宿で夏期や冬季は海外に行くのである。その度にお土産をくれていた。家庭科の調理実習の際に自宅から食器類を持ち込むのだが彼女はアルミのブレッドソーサーにウッドボウル、今でいうところのポーランド製品っぽいカップを持って来ていた。先日、録画をしてあったNHK 美の壺 和箪笥の回を王子さんに観せたところ職人技と技術を食い入る様に観ていたので、ここにも和箪笥があるよ?小さいけれどね。とわたくしの部屋から古いお針箱を見せた。箪笥というか昔のお針箱なんだよ、母さんが若い時に使っていたやつ、カセットテープとお針箱を持って来たくて気を揉んでいて…わたくしの財産。お針箱を見て蛇腹になっている箇所を引き戸だと思っていた王子さんに、そこは少し引っかかるけれどね。と言う間もなく、すげぇ!横に開いた!とえらく興奮をしていた。お裁縫が趣味ではないが亡くなった母親を思い出すのか手芸品やお裁縫の番組には興味を示す。そんな事もあり王子さんに裁縫セットをプレゼントするのはどうであろうか?と幾度と無く考えていた。しかしながら使う頻度も無くわたくしとしてはお裁縫を始めるのであれば用途に応じた針を自らが選ぶのが良策だと。マチ針の種類の話しに及ぶと思考が一致する部分があるのでわたくしがセットを揃えるよりはと躊躇をしていた矢崎わたくしの2つのお針箱を見、開けたり閉めたりと楽しんでいた。共用で使って貰っても構わないのだが必ず王子さんは言う。りんのすけの物を壊したらいけないから。と。そう、完全なる個人主義のわたくしに似てきているのである。一人っ子のわたくしは物を大切にして成長をした。それなら尚更、最低限の裁縫セットを与えるのも良いのかもしれない。チャコペン、ピンクッションとマチ針に物差し、裁ち鋏み。そして卓上ルーペ。と、ここまで書いてそんなにも手芸に熱量がある人間ではないのは容易である。ガラケのわたくしはネットショッピングがAmazonでしか出来なくなった。それもようやくである。与えるのであればわたくしが買い換えた裁ち鋏みが良いのだが。甘やかし過ぎだろうか。